ミニマムパオのニートな日常

再受験・ニート生活を通して思ったこと感じたことを書いていきます。

夢世界 0日目 夢世界 ミニマムパオ 自作小説

妙な眩しさを感じて目を開ける。

見えたのは、どこまでも広がる真っ白な空間。

どこを見渡しても、辺りには何もない。

なぜこんなところにいるのか、記憶の中を探ってみる。

俺はさっきまで大学で授業を受けていた。

とてつもない眠気と戦いながら。

昨日、というより今日か。

朝まで友達とefootballで遊んでいたから、三時間も眠れていないのだ。

ゲームを控えないとなと考えながら授業を受けていたのが、自分が覚えている最後の記憶だ。

なるほど、ここは夢の世界だな。

そうと分かれば、早く目を覚まさなければ。

今受けている授業である日本文学概論は、必修科目なので単位を落とすわけにはいかない。

とりあえず目を開けてみようと試みる。

しかし、おかしなことにすでに目を開けている感覚しかない。

現に自分にはこの真っ白な広大な世界をはっきりと見ることができているからだ。

しばらく目を覚まそうと色々もがいていると後ろから自分に対して誰かが声を発していた。

「そんなことしてもこの世界からは出られんぞ」

俺は気が進まなかったが、後ろをそうっと振り返ってみた。

「ふぉ、ふぉ、ふぉ、今、この世界の主導権はワシが握っておるからのう」

見るとそこには、付け髭のような長い白髭を生やした赤子のような爺さんのような小さな小人が立っていた。

「どうしたらここから出してもらえる?」

俺は気になって尋ねてみた。


「ふぉ、ふぉ、そう焦るな。今から君に素晴らしい提案があるんじゃ」

小人はとても嬉しそうにニヤついている。


「ここは夢の中の世界、”夢世界”じゃ」


やっぱりここは夢の中なのか。


「急いで目を覚さないと授業終わっちゃうんだけど」


俺が言うと小人は


「その心配は無用じゃ。この世界に来てから”現実世界”ではまだ2秒も経っておらん」


そうなのか、と俺は鵜呑みにはできなかった。


心配そうな俺の心境を察したのか小人が

「そうじゃな、今回は授業中にお主を呼び出してしまって落ち着かんじゃろうから、さっさと説明だけしてワシは帰るとするかのう」

説明とはなんですかと俺が尋ねる前に小人が話し始めた。


「まず、この今は真っ白な”夢世界”はお主の現実に合わせて、どんな世界にも変化する」


「この世界はお主の現実をほんのちょっと楽しくなる手助けをしてくれるのじゃ」


そうなのかと俺が話に耳を傾けていると

「以上じゃ」


と小人が言った。


「え、説明終わり?」


俺は思わず尋ねてしまった。


「ぶっちゃけ、この世界がどんな世界になるのかはお主が”夢”を見始めてみないとワシにもわからんのよ。ただ大抵の場合、その人にとって”良い世界”になることが多いから楽しみにしてるんじゃぞ」


そういうと小人は後ろを向いて


「じゃあ、授業の邪魔して悪かったの」

とだけ言って、何処かに向けて歩き出して行った。


「ちょっと待ってくれよ」


俺がそう言って小人を追いかけようとすると、急に世界の輪郭がぼやけ始め、世界がぐるぐると廻り出した。

 

目が覚める、というより意識が戻ると俺は大学の教室にいた。まだ授業が始まって25分くらい。

あの夢の出来事は本当に数秒の間に起こったらしい。


変な夢だなぁ。


不思議と気分はスッキリしていた。

 

俺は授業が終わって家に帰ると、数学の問題をいくつか解いて近くのデニーズに飯を食べに行った。


そして、家に帰るとYouTubeを見てゴロゴロし、12時を回ったのでそのまま布団で寝ることにした。


昼間のあれはなんだったのだろうか。

と少し思い出しながら目を閉じる。


すると体が闇の中に落ちていくような感覚になり、俺はそのまま眠りについた。


気がつくと、また昼間に見た真っ白な世界にいた。

またここか。

そう思った瞬間、世界が七色の光の粒子を大量に放出しながら、どんどんと形を変えていった。

俺はあまりの眩しさに目を閉じた。


次に目を開けたとき、俺は森の中にいた。


どこだここは?


空を見上げると、紫色のオーロラのようなものが輝いていた。


不思議な色の空だな。


俺は辺りを調べようとすると目の前に、昼間の爺さん小人とは別の、だけどよく似た小人の妖精が現れて宙に浮いている。


「ヤッホ〜」


そういうと小人の妖精は

「本日の成果を発表します」

といきなり変な掲示板のようなものを持ち出した。

「本日の成果はこちら!ババン!」

掲示板に文字が表示される。

「数学の問題4問。YouTubeの視聴時間3時間27分。歩数11475歩!」


やっぱりYouTubeの視聴時間長いなと眺めていると


「よって、今回与えられるポイントはこちら!ババン!」

また掲示板の文字が変わる。

「数学ポイント40ポイント!動画視聴ポイント207ポイント!散歩ポイント114ポイント!」


ポイントってなんだと俺がぼんやりと掲示板を眺めていると小人の妖精が


「ポイントっていうのはね。この世界にある魔法やスキルなどを覚えるのに使えるよ」


「”現実世界”で行ったことに対して、この”夢世界”でのスキルアップに使えるポイントが付与されるから色々試してみてね!」


そういうと小人の妖精は、空中で八の字を描きながら

「ポイントはメインメニューからそれぞれのスキルだったり魔法だったりに振り分けできるからよろしくね!メインメニューは念じれば出るから」

俺は頭の中でメインメニューを念じてみると、空中にパソコンのウィンドウのようなものが表示された。確かに左上にメインメニューと書いてある。

これはタッチすればいいのか?と俺が悩んでいると


「メインメニューはタッチでも念じるだけでも操作できるよ!」


小人の妖精は言った。


確かにタッチでも念じるだけでも操作ができる。


これは使いやすいなと思った。


「そしてお待ちかね!今回のメインクエストを発表します!」

メインクエスト?


なんだそれともう一度小人の妖精が持つ掲示板を見ると

「ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル...」


「ジャン!”クラムボン”をぶっ倒そう!」


クラムボンってなんだ?

宮沢賢治の小説に出てくる、あのクラムボンか?


「ということで、クラムボンがこの村と周辺の森を覆うように結界を張っちゃったよ〜!次の街に行くために、クラムボンを倒して結界を解除しよう〜!」


「村はあっちにあるから、そこで情報を集めるといいよ」


「それじゃ!」


そういうと小人の妖精はふわっと消えてしまった。


クラムボンをぶっ倒せか。


正直、自分に何が起きているのか全くわからなかった。


とりあえず状況の確認だ。


メインメニューを開き、今ある情報を確認する。


メインメニューにあるタブにはメインクエストの文字。

開くとクラムボンをぶっ倒そうと書かれていた。

下には細かな説明も書かれている。


そして俺は他のタブも開いてみた。


まず、アビリティメニュー。


ここから、魔法やスキルにポイントが振れるようだ。


そして、マップメニュー。


マップにはおそらく結界が張られている範囲の中の村と周辺の森の情報が描いてあった。


結界の外の情報は一切記されていない。


自分でマップ情報をゲットしていくタイプだろうか。

とりあえずウィンドウの大まかな確認をし、俺はアビリティメニューで魔法やスキルを見てみることにした。

俺が持っているのは、数学ポイント40ポイント、動画視聴ポイント207ポイント、散歩ポイント114ポイント。


とりあえず、アビリティメニューを見る限り、散歩ポイントを50振るごとに、筋力とスタミナの数値を5あげることができるらしい。


俺はとりあえず、100ポイントを振って筋力とスタミナの値を10増やした。


そして、動画視聴ポイントを50振るごとに魔力総量も5上がるらしい。

俺は動画視聴ポイントを200振って、魔力総量を20上げた。


さて、他に何か覚えることのできるスキルや魔法はないかなと。

数学ポイントは剣のスキルを上げたりするのに使えるらしい。


剣。

ということは、やっぱりゲームでいうところの魔物のようなものと戦ったりするのだろうか。


あまり気は進まないが。


とりあえず数学ポイントは温存することにした。

そして俺は近くにある村とやらに行ってみることにしたのだ。